足,潰瘍,糖尿病,壊死,床ずれ,治らない傷

足の潰瘍

2015年12月7日更新
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糖尿病性足病変の再発防止を目的とした外科的処置


糖尿病性足病変の再発防止を目的とした外科的処置

一旦創傷が治癒すると通常は装具、足底盤、義足などでその再発を防ぐが、患者の中には足の変形がひど過ぎて十分な除圧ができなかったり、患者のコンプライアンスが悪くて装具を着用しなかったりする場合がある。
又、認知症の患者に指導を遵守させることは困難である。このような理由により、糖尿病足における創傷再発防止の為に予防的外科手術が必要となるのである。 
手術は足にかかる圧を軽減させる為に突出した骨を削ったり、骨の構造を再調整するものがある。

糖尿病患者の足の外科手術に対しネガティブになる必要はない。下肢救済は有意義なゴールである。圧がかかっている部位に続いて起こる感染を防ぐ為には動脈硬化を考慮しなくてはならない。低酸素血症のアセスメント(必要時は血管外科の協力も得て)は間違いなく重要である。患者の糖尿コントロール、術後のコンプライアンスの問題、全身状態などを踏まえて、足の手術に患者が適応するなら動脈硬化の実施に良い理由となる。
糖尿病患者への足手術に対する多くの誤認が外科的手術に対するかなりの混乱を招いている。が、多くの糖尿病患者が選択的手術や除去手術と同様に感染から回復しているし、手術プランが正確になされていれば予後の経過も良好である。下肢切断のリスクを抱えているよりも、糖尿病足を外科手術することによってもたらされる利益の方が大きいと言える。手術によって足の機能がずっと長く保たれることになるし、糖尿病患者が関わる全ての足手術において有意義なゴールではないだろうか。

糖尿病性足病変の手術は以下の4クラスに分けられる:

クラスⅠ:選択的糖尿病足手術(痛覚のある患者において、痛みのある足変形を治療する)
クラスⅡ:動脈硬化(痛覚を失っている創傷のない患者において、創傷発症や再発のリスクを減らす)
クラスⅢ:治療的手術(創傷の治癒目的)
クラスⅣ:緊急手術(急性感染の進行を抑える)

今回はこのうちのクラスⅡ:動脈硬化の2手順について話したい。
その手順とは種子骨のオペで、非常に簡単であり良好な結果が得られ、第一中足骨の下に胼胝や創傷の再発を繰返す患者にとって有益な手順である。

先ずは解剖学的コンセプト、血流供給、術前評価から始めたいと思う。

 


第一中足趾節関節の種子骨
中足趾節関節(以下MTP関節)の種子骨は母趾の機能において重要な役割を果たしている。短母趾屈筋腱の中に位置する第一MTP関節の種子骨には様々な機能がある:
それは、体重支持部にかかる荷重の大部分を吸収したり、第一中足骨頭の足底面上を走る長母趾屈筋腱を保護したり、体重支持部に内在する筋肉組織の構造的機能向上を助けたりすることである。

第一MTP関節の種子骨

種子骨の構造と母趾の内在筋肉組織は他の足趾と体重支持部を異にする。
二重の短母趾屈筋腱に包まれた母趾種子骨はその足背面と第一中足骨の足底面を結合させている。骨稜(又は種子骨間のうね)は中足骨の内側と外側を分ける。このうねが種子骨複合体の安定を供給している。
MTP関節の内側を見ると母趾外転筋腱は内側種子骨だけでなく基節骨の足底内側面に向かって走っており、種子骨の機能を内側から安定させている。
外側を見ると母趾外転筋腱は基節骨の外側面と外側種子骨に向かって走っており、種子骨の機能を外側から安定させている。

 

 

 

 

血流

種子骨への血流
A.種子骨への血流で最も一般的(ケース中52%)なのは内側足底動脈と足底動脈弓からの直接の分岐である。
B.ケース中24%の種子骨への動脈供給は主に足底動脈弓からのものである。
C.ケース中24%の種子骨への動脈供給は内側足底動脈からのみのものである。

種子骨への血管供給が1つしかない場合、骨折時の骨壊死や骨癒合不全のリスクはより高いものとなる。

 

 


肥大種子骨の評価においては、通常の足部及び側面レントゲンで得られる情報は限られる。

上図は第一中足骨下の種子骨を写したレントゲン写真である。
A.種子骨の描出は一部中足骨頭に邪魔されている。
B.外側から写した種子骨のレントゲン。内側と外側種子骨が重なって、それぞれをはっきり見ることができない。
C.斜め外側から写したレントゲンは外側種子骨の描出に最適である。
D.斜め内側から写したレントゲンは内側種子骨の描出に最適である。
E.軸位方向で写したレントゲンでは第一中足骨に視界を遮られずに種子骨を確認できる。

病因学
種子骨肥大は足底面に大きな突起を発生させ、それが異常な角質化病変を引き起こす。
種子骨直下の軟部組織は潰瘍化し、2次感染、骨髄炎の原因ともなる。
角質化病変は凹足変形や底曲変形の足に起き、第一中足骨下の角質を評価するときは、そのことを考慮に入れなくてはならない。

A.足底面における内側種子骨の突起が角質化皮膚病変を発症させている(矢印部分)
B.異常に厚い内側種子骨が直下に根深い胼胝を引き起こしている
C.摘出されたかなり肥大した種子骨。第一中足骨と種子骨の下に慢性創傷を形成。
D.内側種子骨のレントゲン写真。足底面に大きな骨軟骨腫が確認できる。
E.肥大種子骨下の潰瘍

治療
通常の治療法としては足底盤を作成して除圧を図る。角質化病変はデブリまたは切除することも。カスタムメイドの足底盤や創部の基部にあてたソフトパッドは症状の緩和に役立つ。特別深い(高さを増した)靴に、既製またはカスタムメイドのインソールを入れることにより症状を軽減させられる。

 

突出した種子骨において、通常の治療が不成功だった場合は種子骨の外科的除去が推薦されている。
突出した内側種子骨のシェービング
難治性の足底角質病変の治療に、突出した内側種子骨を外科的に除去するオペが用いられるが、その代替処置として内側種子骨の足底側半分を削るというオペがある。ある。内側種子骨の足底側半分を切除し斜角をつけることにより、病変を大きく緩和することができる。

A: 正中位置のすぐ下から関節包が見えるまで皮膚切開すると、内側足底神経が出現するのでそれをよけ、
B: 内側種子骨が現れたらその足底側半分を切除する(図中のsは種子骨、fは長母趾屈筋腱。)
C: 内側種子骨の足底側が切除された様子
D: 切除された種子骨片
E及びF: 切除術後のレントゲン写真

内側種子骨のシェービングの際は、切除術で行われるものに似た、足底内側の縦方向の切開し、皮膚をアンダーマインすることなく関節包構造まで切開を入れる。
1. 内側種子骨の内側の上をかすめる足底内側の足趾神経に触れないよう注意する。
2. 種子骨の靱帯に切開をいれ、種子骨の上部範囲を輪郭づける。
3. 脂肪層を引っ込ませ、鋸で種子骨の足底側半分を切除する。
4. 内側種子骨の外側すぐに走る長趾屈筋腱を傷つけないよう注意する。
5. 種子骨の足底側半分が切除されたら、鋭ひで尖った角をまるくする。
6. 皮膚をもとに戻す
7. 足趾をテープ固定したガーゼでドレッシングし、患者は術後3週間までは術後用シューズで移動する。

術後MTP関節の動きは通常すぐに元通りとなり、強さも変わらない。

術後の結果
Aquinoらは難治性の角質病変における内側種子骨のシェービング術を行った26ケースの足の評価し、そのうち89%が成功したと発表した。内在の筋肉組織を分断していないため、最終のフォローアップ時に第1趾の僅かな外反が見られた。発表者は術後にMTP関節がほんの僅か弱っていることを発見した。この術は第1中足骨が底曲している場合は禁忌である。その場合の難治性角質病変治療にふさわしいのは屈曲の骨切り術である。第1中足骨が他の中足骨より8度以上底曲しているときは種子骨オペは行ってはならない。
MannとWapnerは内側種子骨のシェービング術を行った14患者(16ケースの足)について発表し、そこでは機能低下はなく、最終のフォローアップ時患者の運動機能は正常であった。15週間後最高又は良好という結果が報告された。但し1件が胼胝を再発し、4件に僅かな胼胝の再発があった。彼らは考えられる合併症として残った種子骨の骨折を上げたが、1件も起きることはなかった。

合併症
当該術後の最も重大な合併症に足底内側の皮下神経損傷がある。もしもこれが起きオペ時に見つかった場合は、神経をもっと基部側へ離し、足底面から遠ざける必要がある。損傷が甚大に見受けられるときは、神経を分割して母趾外転筋の下に埋め込んで足底側に神経腫が発症することを防がなくてはならない。
第一中足骨が底曲している場合は、種子骨切除術を行っても症状は続く為行わない。
角質化病変は凹足変形や底曲変形の足に起き、第一中足骨下の角質を評価するときは、そのことを考慮に入れなくてはならない。中足骨骨頭の下全体に広がったような角質は、通常底曲変形や凹足変形に関連がある。もっと限局した胼胝の時は突出種子骨に関連する場合が多い。

足背アプローチの第一中足骨骨切り術では第一中足骨骨頭の下の圧を軽減することが出来る。

A.術前の写真。第一中足骨の底曲を示している。
B.第一中足骨骨頭下の難治性角質病変。
C.側面レントゲンで第一中足骨の底曲を示している。
D.第一中足骨骨切りのアウトライン。
E.ウェッジが除去され骨切り終了。
F.縫合後。骨切り部分はスクリュー固定されている。

まとめ
足に変形があり、それが装具だけで治療できない場合、外科的再建術は最適な選択肢である。装具でコントロールできない患者には長い目で見た解決法を考える必要がある。

文献
Aquino M, DeVincentis A, Keating S: Tibial sesamoid planing procedure: An appraisal of 26 feet. J Foot Surg 23:226-230, 1984.
Mann RA, Wapner K: Tibial sesamoid shaving for treatment of intractable plantar keratosis. Foot Ankle 13:196-198, 1992.


足の壊死・潰瘍・しびれ

糖尿病患者・足背動脈バイパスにおける長期経験から:      1000ケースの結果分析  
(ハーバード大学医学大学、べスイズラエル病院)

目的: 
過去10年のBeth Israel病院における糖尿病患者の下肢救済のための足背動脈へのバイパスの結果を分析する。

方法:  
以下のデータは、1990年1月10日から2000年1月11日の間に施行された、1032バイパス症例(865患者、27.6%の3731下肢バイパス)の分析である。597患者は男性。平均年齢66.8歳。92%は糖尿病患者。全てのバイパスは、下肢救済の為に行われた。導管は317が大伏在静脈、273がIN-SITU,235が逆大伏在静脈、170腕静脈、35他静脈、2合成導管。 バイパス元は294が大腿動脈、 550が膝窩動脈、114が表面大腿動脈、74がその他動脈であった。

結果:
オペ後1ヶ月以内の死亡:0.9%、オペ後1ヶ月以内のバイパス欠落・閉塞(42症例あるもそのうちの13症例は修復成功した)

フォローアップ1~120ヶ月(中央値23.6ヶ月)
オペ5年後時点:1回での生着率-56.8%、修復後に生着率―78.2%、下肢救済率―78.2%、患者生存率―48.6%
オペ10年後時点:1回での生着率-37.7%、修復後に生着率―41.7%、下肢救済率―57.7%、患者生存率―23.8%
合成導管は1年以内に閉塞した。
一回生着率、女性46.5%、男性61.6%であった、又、糖尿病患者内では65.9%、糖尿病無い患者では56.3%であった。          

大伏在静脈が最も効果的な導管であり、五年後の修復後生着率は67.6%、ほかの導管は46.3%であった。(P <.0001).

データ解析によると、10日以上の入院、又、足背動脈バイパス修復のためのバイパスは、オペ1年後の悪い生着率を予測する。同時に、大伏在静脈を導管として使用した場合、オペ1年後の良い生着率を予測した。

結論:
足背動脈バイパスは、長年の耐久性があり、虚血下肢救済への効果が高いことが分かった。又、バイパス用には大伏在静脈が最も効果的な導管である。50%以上のケースで、比較的短い静脈バイパスでも、下肢への血流再建が可能であった。これにより、足動脈へのバイパスは糖尿病患者で下肢虚血症があるものには、日常的に実施されるべきであるとの正当化ができる。

 

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